1.遠賀川の地理的環境

遠賀川は、福岡県の北部、 福智山、 英彦山 、三郡山などの 900~ 1200m の 山々に 囲まれ 、平野を南から北へ流れています。

馬見山( 977.8 m)の 谷間に 源流があり、 72の 支流を 合わせて、河口の 芦屋まで 流れ 、全長 61. 7kmもあり、筑後川に次ぐ、福岡県 第二大河です。

その流域は1,015㎞²もあります。

さらに北は、玄界灘を隔てて、朝鮮半島にも望んでいます。

また、遠賀川は、筑前(旧遠賀・鞍手・嘉麻・穂波郡)と豊前(旧田川郡)の旧二国にまたがっていたことから「 筑豊 」 とも呼ばれています。

とくに、 明治時代以降に、 日本の 近代化の原動力になった 石炭が 、この5郡から たくさん掘られたので、筑前の「筑」と豊前の「豊」を合わせて 筑豊という呼び方が 広く 用いられるようになりました。

上流の 田川盆地には、 遠賀川水系の 彦山川・中元寺川があり、 そして 東の 周防灘 に 注ぐ 今川があります。

飯塚盆地では、 馬見山を 水源とする 遠賀川( 嘉麻川) と、 三郡山 を 源流とする 穂波川が広がり 、二つの川は 飯塚市で 合流し、北へ流れて、 直方平野いたります。

河口の 東側には 響灘に 望んで 若松半島があり、 北に広がる 響灘は 関門海峡をを西へ出た 海域で、東は 山口県の 海岸 、西は 玄界灘に接しています 。

この海域は 古くから 瀬戸内海・ 関門、 北九州市と 中国大陸・ 朝鮮半島を 結ぶ重要な航路で、 豊かな 漁場でもありますが、近年は工業化による海洋汚染も問題となっています。

下流域は山陰型気候区で、冬は北西季節風をまともに受けます。

中・上流域は筑豊盆地型気候で、昼と夜、夏と冬の気温の差が大きく、10月から12月には盆地特有の濃霧が多く発生します。

1955( 昭和30)頃から始まった、いわゆるエネルギー革命によって、石炭産業は、急速に衰え、遠賀川流域の人々は、大変苦しい時代を迎えましたが、福岡県の中央にあり、 北九州・福岡の二つの地域に近接するという、地理的条件を活かして、再生のための、さまざまな取り組みが、進められています。

遠賀川の流れとともに 、流域の人々が、各時代に、どのような活動を展開してきたのか、そのような 流域の、歴史を今からたどることにしましょう 。